記録: (九州地区より続く)小倉から関門トンネルを経由し、いよいよ本州に帰ってきた。九州も暑かったがこちらもいよいよ夏本番。真夏の太陽がジリジリと照りつける中、進路を日本海側に取り、まずは灯台巡り5ヶ所目である「角島灯台」へ。大体の場所は分かっていたので、陸沿いを走り続ければたどり着くと考えていたのだが、どうやらそれは間違いだと気付くまでに50kmほどかかった。その名の通りそこは島なのだ。山口のYさんからもらった詳細地図によれば、角島はとても小さな島で渡る方法は海路しかないらしい。しかしすでに時間は午後であり、これから船に乗って渡ったとしても長くは居られないだろう。しかも今から乗れる船があるかどうか分からないのだ。明日に延ばすには中途半端な時間過ぎるし、といって通り過ごすわけにもいかない。とりあえずその場所までは行こうと、ナビに渡船場所であろう箇所をインプットしたのであった。 目的地に着いたワシの目に入ったのは大きく立派な橋。ん?これはどこに続くのかな?...なんのことはない、すでに橋がかかっていたのだ。参考にした地図が少し古かったのだ。早速橋へ向かうと通行料は無料という嬉しいオマケまでついてきた。あとで確認した所によると、ここ角島は橋が架かったことにより観光地化を急ピッチで進めており、現在道路やリゾート施設などを建設中とのこと。なるほどね。 人気の少ない、そして自然が多く残るまだ俗化していない道を走り抜け灯台着。しかしここで考えてもいなかったハプニング発生。「全国の灯台を巡ってます。これに記念スタンプをお願いします」と受付に頼むと「あぁ、今スタンプは新しく作っていてもらっていてね」「はぁそうですか」「だからないよ」「はぁそうで.....はぁ?」えぇ〜どうすりゃいいんだ?と言ってこのおっさんに手書きで書いてもらうわけにもいかねーじゃねえかよ!結局その券は真っ白のまま『訪問した記録を残せないで』ワシの手に戻ってきたのであった。うぅまた来なくちゃいかんのか...。それはともかく島自体は非常にキレイで、開発前だけに海も砂浜もキラキラ輝いており、手つかずの自然を体感出来る。難破船もそのままで....それは違うか。まぁリゾートばりばりになってしまう前に一度訪れてはいかがだろうか?今が旬ですぞ。その後島を離れ、その日の夜萩市内に入る。 次の日は朝から萩の街を堪能した。松陰神社〜松下村塾〜伊藤博文旧宅〜高杉晋作旧宅〜木戸孝允誕生地〜武家屋敷〜明倫館跡〜藍場川周辺〜旧湯川家屋敷〜桂太郎旧宅等々。これだけ廻れるのも、すべて無料のおかげ。そう、萩はほとんどの観光施設が無料で見学でき、しかも駐車場も無料の所が多い(一部有料あり)。これだけでも最高なのに、街自体がとても素晴らしいのだ。まるで幕末から時間が止まったかのような静けさ。聞こえるのはセミの鳴き声や生活の音のみ。市役所前の大通りでもほとんど車は通らず、照りつける太陽でさえ静けさを演出するのに役立っているのではないかと思わせる、情感溢れる街なのだ。そこにワシの大好きな長州藩が関わってくるのだからそりゃあもう至福の時。思いきり趣味に走り、何か関連物を発見するたびに狂喜乱舞する単なる長州ミーハーと化してしまったのだった。木戸孝允宅ではあまりのワシの熱心さに惹かれてか、案内の方が普段観光客を入れない部屋にまで通してくれるという嬉しい事件まで起こった。 さて、中心街より少し離れたところに藍場川という水路が流れ、それを上手く利用した家並みがある。写真の通り家の中に水路を通し、その水で洗い物をしたり風呂に使用したりと生活の知恵の固まりのような家だ。「萩焼き体験出来ます」の看板が立てかかる、そんな家屋の作りに感心しながら水路沿いを歩いていると、いつの間にかコイが沢山寄ってきていた。可愛いなぁ、さっきは家の中に入ってきていたね。これからどこへ行くんだい?ここは静かな町だから、ずっとここにいるといい。‥‥待てよ。考えてみればこいつら良くここにとどまってるなぁ。エサを貰えるとはいえ、中身は魚。ということは余程上手く慣らしてるんだな、さすが萩の街。ますます好きになったよ....。そんな穏やかな気持ちでしばらく歩いていくと、水路に柵。そうか、そういうことだったんだね....(T_T) その後、昼飯を食べたお好み焼き屋のにーちゃん情報を頼りに73cmという巨大バスがあがった阿武川ダムへ向かうも、減水で釣り不可能。仕方なく秋吉台方面へと進んだ。 翌朝、「この旅が終わってしまう」ほどの大衝撃が私の中を突き抜けた。そう、分かる人には分かる「7.31の変」だ。ここでその詳細を述べても意味がない。体中から汗が噴き出、ちょっとしたパニック症候群に陥る。気を落ち着かせようとそばにあった池へ向かうが、頭に浮かぶのはその「変」の事ばかり。気分はどマイナー。当然魚など釣れるわけもない。 気を確かにした後、おそらく普通の観光客は誰一人訪れないであろうマイナーな場所「絵堂」へ。ここは司馬遼太郎「竜馬がゆく」で「日本史上初めて庶民が武士に勝利した」と記されている、奇兵隊vs藩の俗論党が戦った地なのだ。といっても興味湧きませんね、はい趣味に走ってます。静かな土地でした。 その後秋吉台へ移動。まだ気分は下向き加減のままだったが、大自然を見ることによって少しは忘れることが出来た。阿蘇、雲仙に続く感動を覚え、人がいないのをいいことにはしゃぐ。のち、草原を下っていると一人の女性が立ち止まっているのが見えた。鼻緒でも切れたのかとどうしたのかと思い近付くと、遙か遠くでこちらに向かって「×」を出している人物が。「ん?」女性が話しかけてくる。「ごめんなさい、今ロケ中でして...」どうやらオイラ「見切れてた」らしい。旅番組のロケをしていたようで、女性レポーターの散策シーンを引きで撮影していたのだ。それも相当長回しで。すんません、もう帰ります。 昼過ぎ秋芳洞へ。その大きさにこれまた感動。今まで行ったことのある鍾乳洞とはスケールが違う。観光客も多く観覧料も高かったが、これほどのものを見せられたら何も文句ないっす。 夕方、ナビで見つけた池に移動。人は誰もいない。でも魚はいる!しばらく釣りしたが2本しか出なかった。うむ、ヘタだ。その夜は一時島根県入りし、津和野で温泉に入る。(全国灯台巡り5ヶ所目「角島灯台」制覇)
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