記録: 悲しい気持ちをひきずったまま、鳥取に入ったのは20時。しかしここで新たな事件が発生。車が渋滞にハマりまったく動かなくなってしまったのだ。道は海沿いの国道で、一本道とはいえ街からも遠く離れ、特に渋滞の原因になる理由はない。30分ほど経ったがピタリとも動かない。通常こういう時は運転席から降りて状況確認をしたりするものだが、周りを見ても特に騒ぎ出す雰囲気もなく、聞こえるのはエンジンのアイドリング音だけ。「もしかしたら俺は異次元に迷い込んでしまったのでは?それともクレージーゴンの死の渋滞にハマったのか?」などとはちっとも考えず、止まっているのを良いことにテレビを見始めた(ワシの車はサイドブレーキを引いてないとTVがつかない仕組み)。放送されていたのは猪木主宰の格闘技イベント。小川VSどっかの弱いデブが戦っていた。試合が終わっても(もっともその試合はすぐに終わったが)いまだ車は動かないまま。ラジオを聞くもどこも交通情報をやっておらず、事故のニュースもない。「こりゃあ一体‥‥」 1時間ほどしたろうか?やっとのこと車の列はのろのろと進み始めた。しかし20mほどでまた止まり、以後この繰り返しが続く。おかしいのは、対向車がほとんど走ってこないこと。事故ならば警察が交通誘導をして互いに通り抜けさせるのが基本。が、それもないのだ。ここでやっと不安が頭をもたげ始める。昼に割子そばを食べたきり、胃には何も入れていないし、水もこの渋滞中に飲みきってしまった。「もしや俺はここで遭難するのか?車の中で?しかもTVを見ながら。もし死んだらなんと報道されるのだろうか?『日本一周中の若者、悲しい孤独死!餓死状態で発見された車内に書き置き【もう走れません。追伸:ガファリは弱かった】』とかか?」とちょっとは考え始めたところ、ようやく列は動き出した。見ると遠くにパトランプが見える。なんだ、やっぱり事故じゃないか。警察め、しっかり誘導しやがれ。と一人ごちながら現場へと徐々に近付いたワシの目に入ってきたのは...乗用車2台がぐしゃぐしゃで道路をふさいでました。ははぁ、これなら通れないわけだね!ボクなっとく!(弱いオチですんません) 22:00、寝場所につき、ようやく就寝。 次の日、前日に地図で発見していた湖山池に向かう。ブラックバスがいる情報はまるでなかったのだが、なんとなく魚の匂いを感じたのと、九州を出てからこちとら一日一度は竿を振らないと落ち着かない体になってしまったせいで朝もはよから釣り開始。本湖(池の中心部)は風が強く釣りにならなかったので、流入している川を探すことにした。すると幅3mほどの汚い小川を発見。水深を測ると1mあるかないかくらいだったが、岸際に密生するアシ(水性植物の一種)がいかにも釣れそうな雰囲気だったのでしばらく釣り続けること1時間...。きましたよ、ドカンと!竿を曲げたのは45cmのプリプリバス。その後も立て続けに良いサイズが釣れ続けたが、日も高く昇り暑くなってきたため、後ろ髪を引かれる思いで鳥取砂丘に向かった。 砂丘前についたワシを待っていたのは、またもや有料駐車場の看板。そして「駐車無料!...みやげを買えば」のアコギな土産物屋。もう腹くくりましたわ。有料はバカらしいし、みやげを買うのもアホらしい。こうなりゃ無断で停めちまえ、あとは知らん。もし見つかって何か言われたら「パピピョン、ピョンヤン」と日本語しゃべれないフリをすりゃ平気だろう、なんたって日本海側だし。さて本題の鳥取砂丘ですが、これは素晴らしかった。広い砂浜は何度も見てきたけれど、ここのはひと味違いましたね。まさに小砂漠。入り口から海辺まで何百mあるだろうか?砂山の上にいる人があまりに遠く小さくて見えない。高い温度と湿度がいやがおうにも砂漠の雰囲気を彷彿とさせる。ウマもいる。ラクダもいる。砂が焼けていて、サンダルで歩を進めたワシの足を容赦なく焼き続ける。熱い熱い 、もうハンパない暑さと熱さ。が、ガマンにガマンを重ねなんとか砂丘を縦断することに成功。ベタつくTシャツも達成感のためかなぜか心地よい。気を良くして最後にラクダとでも記念写真を撮ろうと繋がれている場所に近付いたその時、「ラクダと記念写真\100」の文字が。ボケ!誰が撮るか! 洗い場で足の砂を落とし、駐車場へ戻った時ふと思い出した。そうだ、俺は金を払ってないんだった。あ、店のおっさん、こっちじっと見てる...。どうしようか、やっぱりみやげを買うべきなんだろうか?ジュース一本くらい買ってこうかな?...いいや!俺はタダで停めてやると決めたのだ。こんなところで下手に出てどうする、気を大きく持て!な〜に、そのままブォンと出ていっちまえば分からんさ!で、車を走らせました。すると近付いてきたよ、おっさんが。それも悪鬼羅刹の表情で。いっか〜ん!でもここで逃げたらアカン。俺は気の弱い自分を捨てるために旅に出たんだ。ここで逃げたらあかーんあかーんあかーん...。次の瞬間ひらめきました。そう、「タダで停めたれ!」と思ったときの気持ちを。初志貫徹、戻れ基本に!その後、おっさんの横を通り過ぎる瞬間、気持ち吊り目気味で走り抜けたのは言うまでもない。(一部フィクションです。鵜呑みにしないように) のち、午前中釣りをした池に戻るもボウズ。うまくいかねえもんだなぁと悲しい気分で日本海沿いを兵庫方面へと進んだのであった。(関西地区下部、兵庫県第二部へ続く)
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